「休職したら終わり」じゃない!復職までの流れや休職中に利用できる制度を紹介

「休職したらもう終わり…」と思っていませんか?心のどこかで「休職したらもう職場に戻れないかもしれない」「給与や社会保険料はどうなるのだろう」と不安を持つ方は少なくないでしょう。

本記事では、そんな休職に不安を抱える方に向けて下記4点を解説しています。

  • 休職したら終わりって本当?
  • 休職中の給与や社会保険料はどうなる?
  • 休職から復職までの流れ
  • 休職するときの注意点

これから休職を考えている方や、すでに休職中の方はぜひ参考にしてください。

休職したら終わりって本当?

まずは、実際の復職率など休職にまつわる疑問をみていきましょう。

実際の復職率はどのくらい?

2019年に行われた障害者職業総合センターの「職場復帰支援の実態等に関する調査研究(調査研究報告書No.156)」によると、メンタルヘルス不調による休職者等の復職状況は以下の通りでした。

選択肢回答した企業の割合
7~8割程度復職できた24.1%
ほとんど全員(9割程度以上)復職できた22.6%
4~6割程度復職できた20.1%
全員復職できた11.3%
2~3割程度復職できた8.5%
全員復職しなかった6.5%
1割(以内)程度復職できた3.3%
過去3年間でメンタルヘルス不調により休職した社員がいない2.0%

参考:うつ病等の休職者に対する復職条件、企業の措置、復職率|障害者職業総合センター

過去3年間の休職者等の復職率について、もっとも多かった回答は「7~8割程度復職できた」で24.1%、ついで「ほとんど全員(9割程度以上)復職できた」が 22.6%、「4~6割程度復職できた」は 20.1%でした。

以上の結果からも、休職しても多くの方が復職できていることがわかります。

休職中に解雇されることはある?

休職中に解雇されることはまずないでしょう。業務上のケガや病気によって休業した場合は、治療期間とその後30日間の解雇が法律で禁止されているためです。

ただし、業務外の病気やケガで会社を休職する場合は、就業規則に定められた休職期間満了までに回復しなければ、解雇または退職になることがあります。

休職中に退職することはできる?

休職中に退職することは、法的に何ら問題ありません。

民法627条にも「当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる」と記載されています。労働者はいつでも退職を申し出ることができるため、休職中であっても退職は可能です。

休職中の給与や社会保険料はどうなる?

休職中の給与や社会保険料はどうなる?

休職を検討するときにもっとも気になることは、休職中の生活費についてではないでしょうか。休職中の給与や社会保険料についても、おさえておきましょう。

給与の支給は就業規則の定めによる

休職中の給与の有無は会社によって異なりますが、業務外の事由による休職の場合は支給されないことが多いです。休職中の給料について知りたい場合は、会社の就業規則を確認しましょう。

休職中に給与が支給されない場合は、労災保険や傷病手当金などの制度が利用できます。利用の条件など、詳細は次章「休職中の方が利用できる制度」で解説しているので、参考にしてください。

社会保険料は支払いが発生する

休職中でも社会保険料の支払いが免除されるわけではありません。給与の受け取りがあるかどうかにかかわらず、厚生年金や健康保険の支払いが必要です。本人・会社側ともに、休職前と同じ額を負担する必要があります。

支払い方法は会社によって異なるため、休職に入る前に担当者に確認しておくと安心です。

休職中の方が利用できる制度

休職中に給料が支給されない場合は、以下の制度の利用を検討してみましょう。

  • 労災保険
  • 傷病手当金
  • 自立支援医療制度
  • リワークプログラム

それぞれ詳しく解説します。

労災保険

労災保険とは、業務上の病気やケガに備える保険です。業務上のケガや病気だけでなく、通勤中の事故も補償の対象になっています。

労災保険を利用するには、以下の条件を満たす必要があります。

  • 業務上の事由または通勤によるケガや病気で療養中であること
  • 療養のため労務不能であること
  • 休業中に給与の支払いがないこと

参考:労災保険に関するQ&A|厚生労働省

労災保険の休業補償給付では、ケガや病気が回復するまで、休業1日につき給付基礎日額の60%相当額が受給できます。

傷病手当金

傷病手当金とは、業務外のケガや病気で会社を休む際に受け取れる給付金です。健康保険に加入している人が対象となります。

傷病手当金を受給する条件は以下の4点です。

  • 業務外の事由によるケガや病気で療養中であること
  • 療養のため労務不能であること
  • 4日以上仕事を休んでいること
  • 休業中に給与の支払いがないこと

参考:傷病手当金|全国健康保険協会

傷病手当金では、支給開始から通算して1年6ヶ月まで、給与のおおよそ2/3が受け取れます。ただし、労災保険の休業補償給付を受けている場合は、傷病手当金は支給されないので注意しましょう。

傷病手当金は条件を満たせば退職後も受給できる

傷病手当金は以下の条件を満たせば、退職したあとも引き続き受給が可能です。

  • 1年以上被保険者であったこと(任意継続期間を除く)
  • 支給期間(1年6ヶ月)が満了していないこと
  • 退職日の翌日に傷病手当金を受けていたか、受ける状態であったこと

参考:傷病手当金について|全国健康保険協会

傷病手当金の継続給付が認められれば、退職を余儀なくされた場合でも、しばらくは治療に専念できます。

自立支援医療制度

休職の理由が、うつ病や適応障害などの精神疾患の場合は、自立支援制度(精神通院医療)も役立ちます。自立支援制度(精神通院医療)とは、継続的な通院が必要な方の医療費の自己負担を軽減する制度です。

公的医療保険で3割の医療費を負担しているところが1割になるため、経済的な負担を減らせますよ。申請はお住まいの市町村の担当窓口で行えるので、ぜひ活用してください。

リワークプログラム

リワークプログラムとは、休職者がスムーズに職場復帰できるよう、生活リズムの構築や健康管理、ストレスコントロールの方法などを学べるプログラムのことです。主に医療機関や地域障害者職業センター、就労移行支援事業所などで受けることができ、会社によっては独自のプログラムが用意されていることもあります。

求職中に給与が支給されない場合は、地域障害者職業センターのリワークプログラムがおすすめです。無料でリワークプログラムを受けられるため、経済的な負担が少なく利用できますよ。

また、社内で受けられるリワークプログラムも無料で受けられることが多いです。勤め先にリワーク制度があるか確認してみるとよいでしょう。

休職から復職までの流れ

休職から復職までの流れ

会社を休職する際の手続きや流れは、会社によって異なる場合がありますが、一般的には以下のようなステップがあります。復職までの流れと併せて参考にしてください。

休職までの流れ

  1. 会社の就業規則で申請方法を確認する
  2. 病院を受診し、診断書を発行してもらう
  3. 診断書や休職届など必要な書類を会社に提出する

まずは会社の就業規則で下記の項目を確認しておくとスムーズです。

  • 手続きの申請方法
  • 休職可能な期間や復帰時期
  • 休職中の給与の有無
  • 休職中の社会保険料について

休職に診断書が必要な場合は、病院で診断書を発行してもらいましょう。診断書や休職届など必要な書類が準備できたら、上司や人事担当者に提出してください。

復職までの流れ

  1. 休職中は定期的に医師の診察を受け、会社とも連絡を取る
  2. 主治医から復職承諾の診断書をもらう
  3. 産業医や人事との面談を受ける

休職中は定期的に通院し、心身の回復に努めましょう。会社とも連絡をとり、体調を報告します。

体調が安定してきたら、復職に向けて主治医から復職承諾の診断書をもらう必要があります。復職のタイミングを自分で判断する必要はありません。主治医や会社の担当者と話し合いながら進めましょう。

医師から復職可能の診断書を受け取ったあとは、産業医や人事との面談を経て、最終的な職場復帰が会社によって決定されます。

会社によっては、復職時に短時間勤務から少しずつ勤務時間を長くしていく「試し出社」や「慣らし出社」が行われる場合もあります。

休職するときの注意点

最後に、休職する際に気を付けておきたいポイントを2つお伝えします。

病院は早めに受診する

休職するためには多くの場合、病気やケガを証明する診断書が必要です。とくにうつ病や適応障害などメンタルヘルスの不調の場合は、早めに病院に行くことをおすすめします。

心療内科や精神科は、混んでいて予約が1ヶ月先になることも珍しくありません。初診で診断書をもらえないこともあるため、無理をせず早めに行動に移すことが重要です。

休職中の転職活動は控える

休職中の転職活動は、禁止されているわけではありませんが、控えたほうが無難です。もし転職活動をしていることが勤務先にバレてしまえば、復職しづらくなるでしょう。

そもそも休職は、心身を回復させるための療養期間です。病気やケガで働けないことに焦る気持ちもわかりますが、まずは治療を優先しましょう。転職活動は心身が十分に回復してからスタートしても遅くはありません。

「休職したら終わり」ではない。まずはしっかり休んで心身を回復させよう

「休職したら終わり」ではない。まずはしっかり休んで心身を回復させよう

「休職したら終わりなんじゃないか…」と不安を抱える方もいるかもしれませんが、そんなことはありません。実際に休職した多くの方が復職していますし、労災保険や傷病手当金など休職中に利用できる制度もあります。

社会のなかで働くことはもちろん大切です。しかし、仕事のストレスで心身が疲弊してしまった場合は、一時的に距離を置くことも必要です。

休職期間は自分自身と向き合い、心身の回復に専念する大切な時期。休息を経て仕事に復帰する際には、以前よりも無理なく安心して取り組めるようになるでしょう。休職は「終わり」ではなく、新しいスタートへのステップなのです。

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