障害者におすすめの資格9選!転職に役立つ資格の選び方や支援制度も解説

資格と一口にいっても、国家資格から民間の資格までさまざまな資格があるため「どんな資格を取ればいいの?」と迷われている方は多いかもしれません。

そこで本記事では、障害のある方におすすめの資格について下記3点を中心に解説しています。

  • 障害者の転職に資格はあった方が有利になる?
  • 障害者におすすめの資格9選【職種・業界別】
  • 障害者の転職に役立つ!資格選びの3つポイント

資格を取るときの注意点も紹介しているので、資格取得を検討中の方はぜひ参考にしてください。

障害者の転職に資格はあった方が有利になる?

すべての職種や業界で資格が必要とされるわけではありませんが、資格は障害者の方の転職にも有利に働きます。資格を取得することで知識やスキルを客観的に証明できるだけでなく、自己成長や学習意欲のアピールにもつながるからです。

採用時に資格の有無をチェックしている企業も少なくありません。スキルアップや転職の選択肢を広げるためにも、新たな資格の取得を目指してみましょう。

障害者におすすめの資格9選【職種・業界別】

さっそく、障害のある方におすすめの資格を職種や業界別に9つ紹介します。

I.事務・経理

事務・経理分野でおすすめなのは「MOS」「日商PC データ活用」「日商簿記検定」の3つです。

1.マイクロソフト オフィス スペシャリスト(通称:MOS)

マイクロソフト オフィス スペシャリスト(通称:MOS)は、Word、Excel、PowerPointなどのパソコンスキルを証明する資格です。

仕事で役立つ実用的なスキルのため、幅広い職種で役立ちます。また資格としての認知度が高いので転職の際もアピールしやすいでしょう。

合格率は非公開ですが、一般レベルで約80%、上級レベル(エキスパート)で約60%が目安といわれています。

難易度(合格率)一般レベル 約80%
上級レベル(エキスパート) 約60%
学習期間の目安約120時間(毎日2hの勉強で2ヶ月)
受験料一般レベル 10,780円(税込)
上級レベル(エキスパート) 12,980円(税込)
参考:MOS公式サイト

MOSはこんな人におすすめ

  • 事務や経理などの職種を目指す方
  • 業務でWordやExcelを使う方

2.日商PC データ活用2級・3級(Excel)

日商PC検定は、日本商工会議所が主催するパソコン検定です。PC検定(データ活用)では、Excelを用いたデータベースやグラフの作成や分析、表の活用スキルなどが証明できます。

基本的な使い方や知識が問われるMOSと比べて、日商PC検定はより実践的なスキルが習得できるのが特徴です。国が認める公的資格なので、信頼性も申し分ありません。

難易度(合格率)2級 67.6%
3級 82.4% 
※2020年度データ
学習期間の目安2級 約60時間(毎日2hの勉強で1ヶ月)
3級 約30時間(毎日2hの勉強で半月)
受験料2級 7,330円(税込)
3級 5,240円(税込)
参考:日商PC(データ活用) 公式サイト

日商PCデータ活用はこんな人におすすめ

  • より実践的なスキルを身につけたい方
  • 業務でExcelを使う機会が多い方

3.日商簿記検定2級・3級

日商簿記検定は、日商PC検定と同じく日本商工会議所が主催している公的資格です。お金の動きや取引内容を記録・整理して企業の財政状況を明らかにするスキルが習得できます。

とくに3級は社会人が身に着けておきたい経済の基礎知識が学べるため、業種や職種にかかわらず、取得しておきたい資格といえるでしょう。

難易度(合格率)2級 約20~30%
3級 約30~40% 
学習期間の目安2級 約350時間(毎日2hの勉強で6ヶ月)
3級 約100時間(毎日2hの勉強で2ヶ月弱)
受験料2級 4,720円(税込)
3級 2,850円(税込)
参考:日商簿記検定 公式サイト

日商簿記検定はこんな人におすすめ

  • 3級…あらゆるビジネスパーソンにおすすめ
  • 2級…より簿記の専門性をアピールしたい方

II. IT業界

IT業界でこれから働きたい方や、すでにITエンジニアとして働いている方は「ITパスポート」や「基本情報技術者」「応用情報技術者」がおすすめです。

1.ITパスポート試験

ITパスポート試験は、独立行政法人 情報処理推進機構が主催するITにまつわる入門的な国家資格です。ITに関する基礎的な知識だけでなく、経営やマネジメントに関する知識の証明にもなります。

また、上位資格である「基本情報技術者試験」とも試験範囲が重なっているため、将来的にIT業界で知識を深めていきたい方にもおすすめです。

難易度(合格率社会人(IT系)約55%
社会人(非IT系)約66%
※令和3年1月度データ
学習期間の目安初心者の場合:180時間(毎日2hの勉強で3ヶ月)
基礎知識がある場合:150時間(毎日2hの勉強で2ヶ月半)
受験料7,500円(税込)
参考:ITパスポート試験 公式サイト

ITパスポート試験はこんな人におすすめ

  • 社会人としての基礎知識とIT力を高めたい方
  • すでにIT企業で働いている方

2.基本情報技術者試験

基本情報技術者試験は、経済産業省が実施するITエンジニアとしての知識や技能が一定以上の水準であることを証明できる国家資格です。

デジタル人材の登竜門とも呼ばれており、ITの基本知識が体系的に身に付く点がメリットといえます。

難易度(合格率)約40%
学習期間の目安約200時間(毎日2hの勉強で3ヶ月半弱)
受験料7,500円(税込)
参考:基本情報技術者試験 公式サイト

基本情報技術者はこんな人におすすめ

  • これからIT業界で働きたい方
  • プログラマーやシステムエンジニアとして働いている方

3.応用情報技術者試験

基本情報技術者試験の上位資格にあたる応用情報技術者試験は、ワンランク上のITエンジニアであることを証明できる資格です。専門性が高く、合格率は20%程度とされています。

ITエンジニアとして一定のキャリアを積んでいる方が、さらなるレベルアップを図るためにおすすめの資格といえるでしょう。

難易度(合格率)約20%
学習期間の目安初心者の方:約500時間(毎日2hの勉強で8ヶ月強)
実務経験のある方:約200時間(毎日2hの勉強で3ヶ月半弱)
受験料7,500円(税込)
参考:応用情報技術者試験 公式サイト

応用情報技術者はこんな人におすすめ

  • ITエンジニアとして5~6年の実務経験がある方
  • 基本情報技術者試験を取得している方

III.医療・福祉業界

続いて、医療・福祉業界で役立つ国家資格を3つ紹介します。

なお、これから紹介する資格はいずれも受験資格が必要です。大学や大学院などで指定科目を修了したことなどが条件になるため、気になる資格があれば詳細を確認してみましょう。

1.社会福祉士

社会福祉士は、福祉に関する相談・援助の専門家としての国家資格です。

福祉施設や医療施設だけでなく、学校や児童相談所、少年院などさまざまな分野で活躍できます。

難易度(合格率)44.2%(令和4年度)
受験資格(1)4年制大学で指定科目を修めて卒業した方
(2)2年制(又は3年制)短期大学等で指定科目を修めて卒業し、指定施設において2年以上(又は1年以上)相談援助の業務に従事した方
(3)社会福祉士短期養成施設(6月以上)を卒業(修了)した方
(4)社会福祉士一般養成施設(1年以上)を卒業(修了)した方
詳細はこちら
学習期間の目安300時間(1日2時間の勉強で約5ヶ月)
受験料 (令和4年度)社会福祉士のみ受験 19,370円
社会福祉士と精神保健福祉士を同時に受験 16,840円
共通科目免除による受験 16,230円
参考:社会福祉士国家試験 公式サイト

社会福祉士はこんな人におすすめ

  • 誰かの役に立ちたいという使命感がある方
  • 福祉系の大学、短期大学出身の方

2.精神保健福祉士

あらゆる人を対象とする社会福祉士とは違い、精神障害のある方をメインに相談援助を行うのが精神保険福祉士です。

精神科ソーシャルワーカーとも呼ばれ、福祉施設や医療機関、教育機関、精神保健センターなどが活躍の場になります。

難易度(合格率)71.1%(令和4年度)
受験資格(1)4年制大学で指定科目を修めて卒業した方
(2)2年制(又は3年制)短期大学等で指定科目を修めて卒業し、指定施設において2年以上(又は1年以上)相談援助の業務に従事した方
(3)精神保健福祉士短期養成施設(6月以上)を卒業(修了)した方
(4)精神保健福祉士一般養成施設(1年以上)を卒業(修了)した方  
詳細はこちら
学習期間の目安360時間(毎日2hの勉強で6ヶ月)
受験料(令和4年度)

精神保健福祉士のみ受験 24,140円
精神保健福祉士と社会保険福祉士を同時に受験 19,520円
共通科目免除による受験 18,820円
参考:精神保健福祉士国家試験 公式サイト

精神保健福祉士はこんな人におすすめ

  • 心の悩みや精神的な問題を抱えた方をサポートしたい方
  • 人付き合いが得意な方

3.公認心理師

一般財団法人 日本心理研修センターが主催する公認心理師は、心理的な問題を抱えた人に対してカウンセリングを行い、分析や助言などを行う専門家です。心理職で唯一の国家資格として2017年に新設されました。

医療や福祉の現場だけでなく、学校や一般企業、裁判所など幅広い場で活躍できます。

難易度(合格率)73.8%(令和5年実施分)
受験資格(1)4年制大学で指定科目を履修し、かつ大学院で指定科目を修めた方  
(2)4年制大学で指定科目を履修し、かつ指定の施設で2年以上の実務経験を積んだ方  
詳細はこちら
学習期間の目安400時間(毎日2hの勉強で7ヶ月弱)
受験料28,700円
参考:公認心理士 公式サイト

公認心理師はこんな人におすすめ

  • 心理系の大学を卒業している方
  • 人間の心理に興味がある方

障害者の転職に役立つ!資格選びの3つポイント

障害者の転職に役立つ!資格選びの3つポイント

資格を選ぶ際のポイントは以下の3点です。

  1. 興味・関心や経験と関連があるものを選ぶ
  2. 社会的に需要のある資格を選ぶ
  3. 目的にあったものを選ぶ

それぞれ詳しくみていきましょう。

I.興味・関心や経験と関連があるものを選ぶ

資格を取得する際、一から新しい分野を学ぶのはハードルが高いものです。そのため、まずは自分の興味や関心があることや、今までの経験と関連する分野の資格を選ぶとよいでしょう。そうすることで、勉強のモチベーションが維持しやすく、資格取得に向けた努力が続けやすくなるはずです。

またこれまでの経験や知識を活かせる資格を選べば、自身の強みとなり、転職市場での競争力を高めることにつながります。

II.社会的に需要のある資格を選ぶ

いくら自分の興味のある分野でも社会的に需要のない資格であれば、転職にはなかなか活かせません。資格を選ぶ際は、社会的に需要があるかどうかも大切なポイントです。

たとえば、ITスキルや福祉関連など将来性のある資格や、国家資格や公的資格など認知度と信頼性の高い資格を選ぶとよいでしょう。

III.目的にあったものを選ぶ

資格取得には時間とお金が必要です。「なんとなく転職に有利になりそう」とぼんやりとした目的だけでは、お金も時間も無駄にしてしまいかねません。

将来像をイメージしながら「なぜ資格を取得したいのか」「資格を取得してどうなりたいのか」を明確にして、自分の目的に合った資格を選びましょう。

障害者の方が資格を取るときの注意点

法律により、特定の条件を持つ人が一部の資格を得られない「欠格条項」があります。たとえば心身に障害のある方の場合、薬剤師免許や医師免許が取得できないケースも少なくありません。

欠格条項は絶対的なものと、程度によって資格を与える相対的なものがあります。かつて障害のある方は多くの場で、絶対的欠格条項によって職業選択が制限されていました。

これらは、障害者の自立と社会参加を阻むとの批判から見直しが進められ、一部は相対的欠格条項に改善したものの、さらなる見直しが必要とされています。

資格を取る際は、この「欠格条項」がないかも併せてチェックするとよいでしょう。

【障害者向け】資格取得支援制度も活用しよう

【障害者向け】資格取得支援制度も活用しよう

ここでは資格取得のサポートをしてくれる障害者の方向けの支援制度を2つご紹介します。いずれも利用料はかからないため、積極的に活用してください。

I.就労移行支援

就労移行支援とは、障害や難病のある方が仕事に就くために必要な知識やスキルを、実際に働きながら学べる福祉サービスです。またハローワークなどの関係機関と連携しているため、職場見学や実習、企業とのマッチングなどもサポートしてもらえます。

就労移行支援は、障害者手帳を持っていなくても申し込みが可能です。気になる方は、お住まいの市区町村の福祉担当窓口で確認してみましょう。

II.障害者職業能力開発校

障害者職業能力開発校は、技能習得訓練を通じて仕事に必要な技術や知識が学べる公共機関です。パソコン基礎科やCAD機械科などの科が設置され、一定期間学ぶことができます。

2023年7月時点で全国に17箇所設置されており、利用の申し込みはハローワークから行えます。入校料や授業料はかからないので、通える範囲に障害者職業能力開発校がある方はぜひ活用してみてください。なお、障害者手帳を持っている方が対象です。

資格を取得すると転職や就職でアピールできる

資格を取得すると転職や就職でアピールできる


資格を取得すれば自分のスキルや知識を客観的に証明できるほか、自己成長や学習への意欲のアピールにもつながります。

資格選びのポイントは、興味関心のある分野や経験に関連したものを選ぶこと。また社会的に需要があるかどうかも大切です。「IT分野で働きたい」「今よりも収入を上げたい」など自分の目的に合わせた資格を選んで、就職や転職の選択肢を広げてくださいね。

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