障害者雇用での転職を考える際「障害者雇用枠でもらえる給料はどのくらい?」「実際に生活できるか不安…」といった疑問や不安を抱く方も多いかもしれません。
本記事では、障害者雇用の実態について下記3点を中心に解説しています。
- 障害者雇用枠における平均給料
- 一人暮らしに必要な手取りの目安
- 障害者雇用で生活できないときの7つの対処法
「障害者雇用枠で働くことに興味がある」という方は、ぜひ参考にしてください。
障害者雇用では生活できない?実態は?
「障害者雇用」とは、障害のある方向けの特別な雇用枠のことを指します。企業の提示する条件さえ満たせば誰でも応募できる一般雇用とは違い、障害者手帳を取得している方のみが対象です。障害のある方の雇用が前提となっているため、一般雇用と比べて周りからの理解や配慮が得られやすく、働きやすいといった特徴があります。
まずは、そんな障害者雇用枠の給料面での実態をみていきましょう。
障害者雇用枠における平均給料
「平成30年度障害者雇用実態調査」によると、障害種別ごとの1ヶ月あたりの平均給料は以下の通りです。
障害種別 | 1ヶ月の平均給料※ |
---|---|
身体障害 | 21万5,000円 |
知的障害 | 11万7,000円 |
精神障害 | 12万5,000円 |
発達障害 | 12万7,000円 |
平均給料がもっとも高かった種別は身体障害で、21万5,000円でした。次に高かったのは発達障害で12万7,000円、精神障害が12万5,000円、知的障害が11万7,000円です。
なお、平成30年の日本人全体の平均年収は441万円で、1ヶ月あたりにすると36万7,500円です。日本人全体の平均と比べると、身体障害以外は半分以下の水準であることがわかります。
ただし、給料は仕事の内容や労働時間によって大きく変わってきます。障害者雇用実態調査では、正社員として1日8時間フルタイムで働いている方やアルバイトとして数時間単位で働いている方のデータも含まれるため、あくまでも目安にしましょう。
下記の記事では、週の労働時間ごとの平均給料も解説しているので「より詳しくイメージしたい」という方は、こちらも参考にしてください。
関連記事:障害者雇用の平均給料・年収はいくら?給与を上げる4つのポイントも解説
障害者雇用枠で生活ができないといわれる理由
障害者雇用枠で生活ができないと感じる理由は、主に2つの原因があります。
- 障害者雇用枠の給料が低い
- 治療費などで自己負担が多い
障害者雇用枠の給料は、就労時間の短さや非正規雇用の多さ、単純な業務が主になってしまうなど、さまざまな要因から低くなりがちです。
また障害のある方の場合、定期的な通院や服薬、リハビリ、必要に応じた補装具の購入など、健常者と比べて医療費が増える傾向にあります。そういった医療費の出費が重なることで、日々の生活費に影響が出てしまうこともめずらしくありません。
障害者雇用枠の給料が低い主な原因
一般雇用と同様に障害者雇用枠も最低賃金が保証されていますが、なぜ給料が低くなってしまうのでしょうか。
障害者雇用枠の給料が低い主な原因は、以下の3点です。
- 労働時間が短い
- 非正規雇用の割合が多い
- サポート業務や単純な業務が多い
まず、労働時間が短いという点があげられます。身体的、または精神的な制約からフルタイムの勤務が困難な場合、短時間労働を選択する方も多いです。
そのため、障害者雇用ではパートやアルバイト、契約社員など非正規雇用の割合が多い傾向にあります。「平成30年度障害者雇用実態調査」によると、身体障害のある方で約5割、それ以外の障害種別では約8割が非正規雇用とされています。
また、障害の特性によって業務が限定されてしまうことも要因のひとつです。サポート業務や単純な業務は専門的なスキルや知識を必要としないため、労働市場では比較的低い給料で評価されがちです。
一人暮らしに必要な手取りの目安はいくら?
2022年(令和4年)家計調査報告によると、単身者の消費支出は、1世帯当たり1ヶ月平均16万1,753円でした。この金額にそれぞれ必要な医療費を上乗せした金額が、一人暮らしに必要な手取り額の目安といえます。ただし、あくまでも平均金額であるため、実際は障害の程度や年齢、性別、住んでいる地域などによっても異なります。
1ヶ月あたり手取り約16万円+必要な医療費を得るには、パートやアルバイトの収入だと厳しいかもしれませんが、正社員として働けば十分に手の届く範囲だといえるでしょう。
障害者雇用で生活できないときの7つの対処法
正社員としてフルタイムで働けば、障害者雇用枠の給料でも一人暮らしは十分に可能といえます。とはいえ「あともう少し生活費をプラスしたい」「そもそも正社員で働くのが難しい」という方もいるでしょう。
ここでは、障害者雇用での給料だけでは生活が厳しいときに試したい対処法を7つご紹介します。
- 障害者手帳で利用できる福祉サービスを利用する
- 障害者雇用で正社員登用を目指す
- 障害者専門の転職エージェントを活用する
- 副業にチャレンジする
- グループホーム・公営住宅で暮らす
- 障害年金を受給する
- 生活保護を受ける
それぞれ詳しくみていきましょう。
1.障害者手帳で利用できる福祉サービスを利用する
障害者手帳を取得すると、医療費の自己負担軽減や税金の減免、公共交通機関の運賃割引など、さまざまな福祉サービスが受けられます。障害者手帳で利用できる福祉サービスをしっかり活用すれば、日々の生活費の負担を減らせるでしょう。
障害者手帳で受けられる福祉サービスの詳細は下記にて紹介しているので、こちらも参考にしてください。
関連記事:障害者手帳を取得するメリットは?デメリットはあるのかも解説
2.障害者雇用で正社員登用を目指す
「正社員登用制度」のある会社では、パートやアルバイト、契約社員から正社員を目指すことも可能です。正社員になることで給与面での改善だけでなく、雇用の安定性や福利厚生の充実など、働く環境そのものが向上します。
一人ひとりの能力や適性を活かした職種につけるチャンスも広がるので、積極的にスキルアップして正社員登用を目指しましょう。
正社員雇用で正社員になる方法については、以下の記事で詳しく解説しています。
関連記事:障害者雇用で正社員は難しい?一般雇用との違いや正社員になる方法も解説
3.障害者専門の転職エージェントを活用する
転職を考えている場合は、障害者専門の転職エージェントを活用するのもおすすめです。
専門の転職エージェントなら、障害者雇用の求人が多く集まるので、給料面で条件のよい仕事を見つけやすいメリットがあります。また障害の特性を理解したうえで、履歴書の添削から面接対策まで、転職活動を手厚くサポートしてくれるのもうれしいポイント。収入をあげるための具体的なアドバイスももらえるため、まずは相談してみてはいかがでしょうか。
転職エージェントの選び方や活用ポイントについては、以下の記事で解説しています。
関連記事:【障害者雇用】転職エージェントの選び方や活用ポイントを紹介
4.副業にチャレンジする
本業の収入だけでは生活が厳しいと感じたら、副業にチャレンジしてみるのもひとつの方法です。障害により一定の時間働くことが難しい場合でも、自分のペースで働ける副業を選ぶことで、より生活を安定させられる可能性があります。自分の得意なことや好きなことを活かせる副業が見つかれば、楽しみながら収入を増やせるでしょう。
ライティングやデザイン、プログラミングなど在宅でできる仕事も数多くあるので、自分の得意分野や興味を活かせる仕事を探してみてください。ただし副業を始める前には、体調との相談や現在の勤務先で副業が許可されているかの確認を忘れずに。
5.グループホーム・公営住宅で暮らす
生活費を抑えるためには、住居費の節約も重要です。グループホームや公営住宅は、一般の賃貸物件よりも家賃が抑えられるため、負担を大幅に減らせます。
グループホームの場合、自治体によっては独自で家賃の補助制度を設けている場合もあります。同じような状況の方々と一緒に生活することで、互いに支え合う環境を作れるのもメリットです。
公営住宅は家賃が低めに設定されており、長期的に生活を安定させたい方におすすめです。障害の程度によっては優先的に入居できる場合もあるので、ぜひ検討してみましょう。
6.障害年金を受給する
支給要件を満たしていれば、働きながら障害年金を受給することも可能です。
障害基礎年金で年間に受け取れる額は、1級が年間99万3,750円、2級が79万5,000円となっています(令和5年7月時点)。厚生年金に加入したことがあれば、加入期間などに応じて障害厚生年金も受け取れます。
受給するためには一定の要件を満たす必要があり、また障害者手帳とは別に手続きが必要です。詳細は、最寄りの年金事務所に問い合わせてみましょう。
7.生活保護を受ける
「障害年金を受給できなかった」「そもそも働くことが難しい」という場合には、最後のセーフティネットとして、生活保護を受けるという方法もあります。なかには受給することをためらう方もいるかもしれませんが、憲法に基づいた国民の権利であり、生活が困窮している場合には遠慮せず申請を検討してみてください。
生活保護の申請・相談は、お住まいの地域を所管する福祉事務所で行えます。書類を提出すると家庭訪問が実施されるので、担当ケースワーカーの指示に従って申請を進めましょう。
障害者雇用だけで生活できないときは福祉サービスをうまく活用しよう
障害者雇用枠の平均給料は日本人全体の平均に比べると低い傾向にありますが、正社員としてフルタイムで働けば一人で生活するのに必要な収入を得ることは十分に可能でしょう。
とはいえ、実際は障害によって短時間しか働けない方も多いかもしれません。障害のある方々が困難を感じたときには、医療費の補助や障害年金など社会の援助を頼ることが大切です。自分一人で抱え込まず、利用できる福祉サービスを積極的に活用してください。
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