障害者雇用の面接でよく聞かれる質問・回答例10選|面接を成功させるコツも紹介

障害者雇用の面接では、自己紹介や志望動機だけでなく自身の障害についても質問されるため、事前準備が欠かせません。しかし「面接で障害についてどう説明すればよいかわからない」という方も多いでしょう。

そこで本記事では、障害者雇用の面接について下記4点を中心に解説しています。

  • 障害者雇用の面接の特徴とは
  • 障害者雇用の面接で聞かれる質問&回答例10選
  • 障害者雇用の面接を成功させる5つのコツ
  • 障害者雇用の面接対策方法

「書類選考が通っても面接で落とされてしまう」とお悩みの方はぜひ参考にしてください。

障害者雇用の面接の特徴とは

障害者雇用の面接には、一般的な面接で聞かれる質問のほか、障害者雇用特有の質問があります。

とくに「ご自身の障害について教えてください」という質問は必ずと言っていいほど受けます。この質問には、業務上どんな配慮が必要なのか、長く一緒に働けそうかなどを確認する意図があります。

面接回数は企業により異なりますが、大体は2回実施される場合が多いです。1次面接では人事担当者と、2次面接では配属先担当者との面接が行われます。

面接官確認・質問事項
1次面接人事担当者配属先担当者人柄や経験、希望条件、障害状況の確認
2次面接採用責任者配属先最高責任者
役員・幹部
具体的なスキルや仕事への意欲、障害状況の確認業務内容の説明

障害者雇用の面接でよく聞かれる質問&回答例10選

障害者雇用の面接でよく聞かれる質問を下記にまとめました。

  1. 自己紹介と自己PRをお願いします
  2. ご自身の障害について教えてください
  3. 志望理由を教えてください
  4. 前職の退職理由を教えてください
  5. 業務上、配慮が必要なことはありますか
  6. 薬の服用の頻度や副作用について教えてください
  7. 前職でストレスに感じたことはどのようなことがありましたか
  8. 得意なことや苦手なことを教えてください
  9. 残業は可能ですか
  10. 何か質問はありますか

その質問の意図や回答のポイント、回答例をそれぞれ紹介するので、参考にしてくださいね。

1.自己紹介と自己PRをお願いします

自己紹介や自己PRは、面接の冒頭でよくされる質問です。

名前や職歴の簡単な説明、また現在就労移行支援などを受けているのであれば、その所属先などを伝えましょう。

回答のポイント

  • 30秒~1分以内を目安にまとめる
  • 簡単な自己PRも添えて「本日はよろしくお願いします」で締める

回答例

本日は貴重な機会をいただきましてありがとうございます。〇〇(名前)と申します。前職は〇〇(企業名)で、◯年ほど一般事務をしていました。

データ入力やホームページの管理など、今までの経験が活かせると思い御社に応募しました。本日はどうぞよろしくお願いします。

2.ご自身の障害について教えてください

障害者雇用で必ず聞かれるのが、障害についての質問です。

企業としては、募集職種に適しているのか、どんな配慮が必要かを判断するために質問しています。また、きちんと自己理解ができているかも見られています。

回答のポイント

  • 障害名、障害が発症した時期・理由、症状などを簡潔に答える
  • 障害名だけでなくどんな特性があるのかを正しく伝える

回答例

障害の種類は「肢体不自由」で、身体障害者手帳◯級を取得しています。がん治療のため、◯歳のときに左足を膝下から切断しました。普段の生活では主に義足をつけていますが、長距離を移動するときなどは車椅子を使用することもあります。

オフィス内で完結する〇〇(募集職種)の業務であれば、義足での通勤が可能です。

3.志望理由を教えてください

志望理由は、障害者雇用・一般雇用にかかわらず聞かれる質問です。あいまいな志望動機ではうちでなくてもよいと判断されてしまうため、なぜその企業を志望したのかを明確に伝えることが大切です。

回答のポイント

  • どんなことに興味や共感をもって応募したのかを自分の言葉で伝える
  • どのように企業に貢献できるのかを添える

回答例

自分自身に障害があるため、車椅子メーカーである御社の事業に貢献したいと願い、応募させていただきました。御社の商品の〇〇という部分や、〇〇という社風にも魅力を感じています。

前職では総務部に所属し、3年間アシスタント業務に携わっていました。御社に採用いただけました暁には、電話対応や書類作成、データ入力を中心にお役に立てるかと思います。

4.前職の退職理由を教えてください

一般雇用の面接でも必ず聞かれる質問です。転職回数が多い場合も、それぞれきちんと答えられるよう準備しておきましょう。

回答のポイント

  • 退職理由は他責で語らない
  • 同じことを繰り返さないために実践している工夫を伝える

回答例

残業の多さから体調が悪化し退職しました。前職では上司から仕事をまかせていただくことが多く、残業が週◯時間に及ぶこともありました。体調が悪化するまで無理に頑張ってしまったと反省しております。

退職後は治療に専念し、現在は就労できるまでに回復しました。体を壊した経験から、睡眠や食事、運動習慣を見直し、疲れやストレスをためない生活を実践しています。

5.業務上、配慮が必要なことはありますか

企業は障害者を受け入れるために、どのような配慮が必要なのかをきちんと知る必要があります。ミスマッチを起こさないためにも、相手にわかりやすく伝えることが大切です。

回答のポイント

  • 同じ障害でも人によって配慮事項が違うため具体的に答える
  • 配慮を求めるだけでなく、対処とセットで伝える

回答例

先天性難聴により、生まれつき聴力がほとんどありません。補聴器をつけてはいますが聞き取りにくいので、業務上の指示はメールやチャットなどでいただくか、口元の動きが見えるようにマスクを外して話していただけると助かります。

6.薬の種類や副作用、通院の頻度について教えてください

薬の種類や副作用の有無、通院の頻度について聞かれることも多いです。定期的な通院は長く安定して働くために必要なことなので、遠慮せずに伝えましょう。

回答のポイント

  • 薬の名前や服用の頻度は正しく伝える
  • 通院のため休む必要がある場合はきちんと伝える

回答例

抗うつ薬の〇〇を1日2回と睡眠導入薬の〇〇を就寝時に服用しています。3年ほど服用を続けていますが、気になる副作用はありません。

現在は症状が安定していますが、1ヶ月に1回は通院が必要です。土曜日に予約がとれない場合は、半休をいただけますと幸いです。

7.前職でストレスに感じたことはどのようなことがありましたか

企業は単に苦労した話を聞きたいわけではなく、ストレスに対する価値観や考え方を見極めようとしています。どのように考えて対処したかまで説明しましょう。

回答のポイント

  • 「こういうことが大変でした」とネガティブな内容で終わらない
  • どのようにストレスに対処したかを伝える

回答例

仕事のスケジュールが予定よりも遅れてしまいそうなときに、ストレスを感じます。周りに迷惑をかけてしまうと不安や焦りが出てしまうからです。

業務の効率化を進めるとともに、スケジュールの管理方法を見直し予備日を設定することで、多少の遅れがあっても対応できるようにしています。

8.得意なことや苦手なことを教えてください

この質問では、自分を客観視できているか、業務の適性があるかなどが見られています。とくに「苦手なこと」は、企業側が必要な配慮を判断するために重要な情報です。隠したり嘘をついたりせずに伝えましょう。

回答のポイント

  • 苦手なことは隠さない
  • 必要な配慮もセットで伝える

回答例

発達障害の特性により、マルチタスクが苦手です。また口頭の指示だけだと、内容がよく理解できないことがあります。業務の指示はひとつずつしていただき、また口頭だけでなくメールやチャットなどで補足していただけると幸いです。

得意なことは、マニュアルがあって手順や作業内容が決まっているような業務です。マニュアルを遵守し、コツコツと作業を行えます。

9.残業は可能ですか

職種や業務内容によっては、残業が発生することもあります。体調が第一優先なので、無理して「できます」と答える必要はありませんが、角の立たない伝え方をしましょう。

回答のポイント

  • 残業が難しい場合は理由を添える
  • 残業が可能な場合は具体的な数字を伝える

回答例

  • 主治医から残業は控えるように言われており、なるべくご配慮いただけると幸いです
  • 体調次第ですが、週に◯時間程度なら可能です

10.何か質問はありますか

面接の最後にほぼ必ず聞かれる質問です。「ありません」と回答すると、興味がないと捉えられる場合もあるため、1~2つは質問を用意しておきましょう。

回答のポイント

  • 「ミスマッチを避けるため」「仕事に貢献するため」が前提の質問をする
  • 調べればわかることや、給料や休日など条件の確認は避ける

回答例

仕事上でミスを無くすためにメモを活用していますが、業務上の指示はどのような方法で進めますでしょうか?

障害者雇用の面接を成功させる5つのコツ

ここからは、障害者雇用の面接を成功させる5つのコツを紹介します。

  • 面接の準備に力を入れる
  • 緊張したときの対処方法を知っておく
  • 清潔感のある服装で臨む
  • 相手の目を見て笑顔で受け答えする
  • ネガティブなことも正直に伝える

それぞれを詳しくみていきましょう。

1.面接の準備に力を入れる

面接前に準備できるものは事前にしっかり対策をしていれば、面接当日も安心です。

面接でよく聞かれる質問はどこの企業でも共通しています。その質問を中心に回答を準備しておけば、自分のよさをしっかり伝えられますよ。頭でイメージするだけでなく、実際に声に出して受け答えの練習をするとよいでしょう。

2.緊張したときの対処方法を知っておく

面接で緊張するのは当たり前のことです。緊張してしまったときは、うまく話そう、よく思われようとするよりも「誠実に」「丁寧に」を心がけましょう。

また面接官に「緊張しています」と伝えるのもひとつの手。面接冒頭で相手に打ち明ければ、グッと気が楽になりますよ。面接官側も少なからず緊張はしているものなので、気持ちをシェアすることで場が和む場合もあります。

3.清潔感のある服装・身だしなみで臨む

清潔感のない服装・身だしなみは、相手にマイナスの印象しか与えません。人の第一印象は最初の3秒で決まるとも言われているため、しっかり意識しておきたいですね。

企業によって異なりますが、面接時の服装はスーツが基本です。スーツがシワになっていないか、靴に汚れはついていないかなど、面接前日までによく確認してください。

また男性であればヒゲの剃り残しはないか、女性であればビジネスシーンに合ったメイクができているかなども大切です。

4.相手の目を見て笑顔で受け答えする

面接では話す内容だけでなく、表情や雰囲気も見られています。無理に明るく振る舞う必要はありませんが、面接官と目線を合わせて笑顔で受け答えをすることが大切です。

目を合わせるのが苦手な場合は、相手の眉間や鼻あたりを見るとよいでしょう。

5.ネガティブなことも正直に伝える

障害のネガティブな面を伝えると不採用になるのではと思う方もいるかもしれませんが、そんなことはありません。企業にとっては「業務上どんな配慮が必要か」を判断する材料になります。

障害者雇用では、障害による困りごとや業務上苦手なことなども正直に伝えましょう。障害に関してわかりやすく伝えることで「障害とうまく付き合えている」「安定した状態を維持できている」と評価につながります。

障害者雇用の面接対策方法

面接の練習をするには「家族や友人に協力してもらう」「転職エージェントで模擬面接を受ける」などの方法が効果的です。

家族や友人に協力してもらう

イメージトレーニングや動画撮影など1人でもできる練習だけでは、どうしても限界があります。家族や友人など身近な人に面接官役をお願いして、面接時の受け答えを練習してみましょう。

誰かに協力してもらうことで自分とは違った視点を得られるため、練習の効果も大きくなりますよ。また最後には良かった点と改善点を評価してもらい、次は改善点を意識してみてください。

転職エージェントで模擬面接を受ける

「面接練習を手伝ってくれる人がいない」「専門家のフィードバックがほしい」という方は

転職エージェントに相談するのも方法のひとつです。

転職エージェントでは求人情報のマッチングだけでなく、模擬面接サービスも受けられます。納得がいくまで何度でも練習でき、プロの目線からアドバイスをもらえるので、大きな自信になるでしょう。

転職エージェントの選び方や活用ポイントについては、下記の記事で解説しているのでぜひ参考にしてください。

関連記事:【障害者雇用】転職エージェントの選び方や活用ポイントを紹介

面接は準備が何よりも大切!しっかり対策しよう

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