就労継続支援B型とは、雇用契約に基づく就労が困難な方に対して、働く場の提供や就労訓練を行う福祉サービスです。全国に数多くの事業所があるので「実際の仕事内容は?」「収入はどのくらい?」と気になる方も多いでしょう。
本記事では、就労継続支援B型について下記4点を中心に解説しています。
- 就労継続支援B型とは
- 就労継続支援A型とB型、就労移行支援との違い
- 就労継続支援B型のメリット・デメリット
- 就労継続支援B型事業所の選び方
就労継続支援B型の利用方法やどんな人におすすめかも紹介していますので、ぜひ参考にしてくださいね。
就労継続支援B型とは
就労継続支援B型は、年齢や体力的に企業に雇用されるのが困難な方が、雇用契約を結ばずに働くことができる福祉サービスです。
まずは、対象者の条件や仕事内容、給料など基本知識をおさえておきましょう。
対象者
就労継続支援B型の対象者は、障害や病気のある方で以下のいずれかに該当する方です。
① 就労経験がある者であって、年齢や体力の面で一般企業に雇用されることが困難となった者
② 50歳に達している者又は障害基礎年金1級受給者
③ ①及び②に該当しない者で、就労移行支援事業者等によるアセスメントにより、就労面に係る課題等の把握が行われている者
引用:障害者総合支援法における就労系障害福祉サービス|厚生労働省
年齢制限はなく、18歳未満でも65歳以上の方でも条件を満たしていれば、就労継続支援B型を利用できます。なお、障害者手帳を持っていなくても利用できるケースもあります。
対象者の条件についての詳細は自治体によって異なる場合があるため、お住まいの地域の福祉相談窓口で確認してみましょう。
仕事内容・勤務時間
就労継続支援B型には、以下のような仕事があります。
- 部品加工
- 衣類のクリーニング
- パンやクッキーなどの製造
- ミシン作業などの手工芸
- 宛名シール貼り
- 箱折り、雑貨の袋詰め
- アルミ缶のスクラップ作業
- ピッキング作業
- 簡単なパソコン作業
- 農作業
就労継続支援B型の仕事内容は軽作業が中心で、勤務時間は1日2~4時間ほどと短時間であることが多いです。事業所によっては、週1日1時間〜の利用が可能なところもあります。
工賃
就労継続支援B型では、作業の対価は「給料」ではなく「工賃」として支給されます。雇用契約を結ばないため最低賃金は保証されていませんが、月額3,000円を下回ってはならないと定められています。
令和3年度に行われた厚生労働省の調査によると、就労継続支援B型の平均工賃は1ヶ月あたり16,507円でした。時給平均は233円です。
コロナ禍の影響により令和2年度は減少が見られたものの、平成18年度以降は基本的に増加傾向にあります。
利用料
就労継続支援B型の利用料金は、通所日数と前年の所得によって決まります。
原則1割が利用者負担となりますが、前年の世帯収入に応じて以下のように負担額の上限が設けられています。
区分 | 世帯の収入状況 | 負担上限月額 |
---|---|---|
生活保護 | 生活保護受給世帯 | 0円 |
低所得 | 市町村民税非課税世帯※1 | 0円 |
一般1 | 市町村民税課税世帯※2 | 9,300円 |
一般2 | 上記以外 | 37,200円 |
※1…3人世帯で障害者基礎年金1級受給の場合、収入がおおむね300万円以下の世帯が対象
※2…収入がおおむね600万円以下の世帯が対象
前年の世帯収入がおおむね300万円以下の場合、もしくは生活保護受給世帯の場合は、無料で就労継続支援B型を利用できます。
利用期間
就労継続支援B型の利用期間に上限は定められていません。自ら退所を申し出ない限り、期間の制限なく通所が可能です。
就労継続支援A型とB型、就労移行支援との違い
就労継続支援には、A型とB型の2種類があります。両者の違いは、雇用契約の有無(最低賃金が保証されるかを含む)と年齢制限です。
A型とB型、就労移行支援との違いを表にまとめましたので、参考にしてください。A型、就労移行支援の説明は後述します。
就労継続支援A型 | 就労継続支援B型 | 就労移行支援 | |
主な目的 | 就労 | 訓練・リハビリ | 就職支援 |
対象年齢 | 原則18~65歳未満 | 年齢制限なし | 原則18~65歳未満 |
雇用契約 | あり | なし | なし |
仕事内容 | 一般企業とほぼ変わらない | 軽作業が多い | 働きながら、就労に必要なスキルを学ぶ |
給料 | 最低賃金が保証されている | 最低賃金が保証されていない | 基本的に賃金は発生しない |
平均賃金 | 月平均 81,645 円※ | 月平均16,507 円※ | ー |
利用期間 | 制限なし | 制限なし | 原則2年間 |
※令和3年度の平均工賃(賃金)
就労継続支援A型とは
就労継続支援A型とは、障害や病気により就労が困難な方が、雇用契約を結んだ上で働ける福祉サービスです。周りからのサポートがあれば、雇用契約に基づく就労が可能な方(原則18~65歳未満)が対象となります。
B型とは違い、雇用契約を結ぶため最低賃金が保証されているのが特徴です。勤務時間は1日4~6時間程度の場合が多く、仕事の内容はデータ入力やカフェでの接客など一般企業とほとんど差がありません。
就労継続支援A型の詳細は、こちらの記事で解説しているのでぜひ参考にしてください。
関連記事:就労継続支援A型とは?仕事内容から給料・利用方法・事業所の選び方まで解説!
就労移行支援制度とは
就労移行支援制度とは、訓練や支援を通じて就労に必要なスキルを習得できる福祉サービスです。一般企業への就労を目指す障害者(原則18~65歳未満)が対象となります。
働く機会を提供する就労継続支援とは違い、一般企業への就職支援を目的とするため、基本的に賃金は発生しません。また利用期間は原則2年間と定められています。
就労継続支援B型で一定期間経験を積めば、就労移行支援制度にステップアップすることも可能です。就労継続支援に比べてより実践的なトレーニングが受けられるので、将来的に一般企業での就労を目指す方は、就労移行支援制度の利用も視野に入れておくとよいでしょう。
就労継続支援B型のメリット・デメリット
就労継続支援や就労移行支援制度などさまざまな福祉サービスがあるので、何を選ぶべきか悩む方もいるでしょう。
就労継続支援B型のメリット・デメリットを紹介するので参考にしてくださいね。
メリット
就労継続支援B型の主なメリットは以下の2点です。
- 体調に合わせて自分のペースで働ける
- 専門のスタッフにサポートしてもらえる
就労継続支援B型のメリットは、体調に合わせて自分のペースで働ける点です。週1日1時間から利用できる事業所もあるので、体調を優先して働きたいという方に向いています。
またB型事業所には、相談支援専門員や精神保健福祉士など専門資格をもつスタッフが在籍しています。専門スタッフのサポートのもと、利用者の希望やスキルに合った作業を行えるので、安心して働き続けられるのもメリットのひとつです。
デメリット
一方で就労継続支援B型には以下のようなデメリットもあります。
- 工賃が安い
- 単調な作業が多い
デメリットは工賃の安さです。就労継続支援B型では雇用契約を結ばないため、最低賃金が保証されません。そのため、最低賃金が保証されるA型に比べると受け取れる金額は少なく、それだけで生活費を補うには不十分といえます。
また単調な作業が多いため、仕事内容に物足りなさを感じる方も少なくありません。
就労継続支援B型はどんな人におすすめ?
以上のメリット・デメリットを踏まえた上で、就労継続支援B型はこんな人におすすめできる福祉サービスといえます。
- A型事業所で働くのが体力的・技術的に難しい人
- 体調が不安定で長時間働くのが難しい人
- 生活リズムを整えることから始めたい人
就労継続支援B型の利用方法
就労継続支援B型を利用するには、何から始めればよいのでしょうか。ここでは、求人の探し方や利用手続きの流れをお伝えします。
求人の探し方
就労継続支援B型を利用する際は、まず働きたい事業所を見つけるところから始めましょう。B型事業所の求人情報は、以下の窓口や相談機関で得られます。
- ハローワーク
- 各自治体の福祉相談窓口
- 障害者就業・生活支援センター
- 障害者相談支援事業所
- 地域障害者職業センター
- 通院している病院
「障害者就業・生活支援センター」は、就業面だけでなく生活面も含めて総合的にサポートしてくれる機関です。令和5年4月時点で全国に337箇所設置されているので、ぜひ活用してみてください。
また通院している場合、病院で事業所の情報を紹介してもらえることもあるため、担当医に相談してみるのもよいでしょう。
利用の流れ
就労継続支援B型を利用するには、以下のステップがあります。
ステップ① B型事業所を探す
ステップ② 見学や体験に行く
ステップ③ 事業所で面接を受ける
ステップ④ 各自治体の福祉担当窓口で利用申請をする
気になる事業所を見つけたら、見学や体験に申し込み、実際に足を運んでみましょう。
仕事の内容はもちろん、ご自身の障害に必要な設備(スロープなど)の有無、事業所の雰囲気などをよく確認しておくことが大事です。複数の事業所を比較することで、より自分に合う事業所を見つけやすくなります。
事業所での面接を通過したら、お住まいの地域の福祉担当窓口で利用申請を行いましょう。
就労継続支援B型事業所の選び方
全国に約13,900箇所(令和3年1月時点)も存在するB型事業所。たくさんある事業所の中から、何を基準に選べばよいかわからないという方もいるでしょう。
ここでは、選び方のポイントを6つお伝えします。
- 障害が事業所の支援対象か
- 続けられる仕事内容か
- 体調に合わせた働き方ができるか
- 自宅から通いやすいか
- 事業所の雰囲気が合っているか
- 一般就労への支援体制があるか
それぞれを詳しく見ていきましょう。
障害が事業所の支援対象か
B型事業所には、多くの障害や病気を対象としているところもあれば、一部の障害や病気のみを対象としているところもあります。
気になる事業所があっても、ご自身の障害種別が支援対象になっていなければ、利用できない可能性もあります。応募する前に、事業所ごとの支援対象をしっかり確認しましょう。
続けられる仕事内容か
障害の特性に合わなかったり、興味の持てない仕事だと長く続けられません。仕事の内容は事業所ごとに異なるため、自分にもできそうな仕事内容か、得意なこととマッチしているかを見極めることが大切です。
多くの事業所で見学・体験が可能なので「仕事のイメージがつかない」という方は積極的に活用してくださいね。
体調に合わせた働き方ができるか
障害や難病のある方は、毎日体調が安定しているとは限りません。そのため、通所日数や勤務時間などの要望をどこまで汲み取ってもらえるかも大切なポイントです。
病状を悪化させないためにも、無理なく通える日数・勤務時間を伝えて、自分の体調に合わせた働き方ができるかを確認しましょう。
自宅から通いやすいか
自宅から事業所までが遠いと心身に負担がかかります。実際に使用する交通機関や通勤にかかる時間を把握して、自宅から通いやすい事業所を選びましょう。事業所によっては送迎付きのところもありますよ。
また交通機関や自分の車を使う場合は、交通費が支給されるのかも重要です。見学・体験の際に、交通費の支給についても確認しておくことをおすすめします。
事業所の雰囲気が合っているか
仕事内容や通いやすさだけでなく、事業所の雰囲気も確認しておきたいポイントです。
事業所によっては勤務中に他の利用者と話しながら作業を進めるところもあれば、1人で黙々と作業をこなすところもあります。見学や体験に行き、利用者やスタッフの人となりや作業中の様子にも注目してみてください。
一般就労への支援体制があるか
将来的にA型事業所や就労移行支援、一般企業への就職を目指している方は、事業所の支援体制も確認しましょう。
進路変更や就職支援にそこまで力を入れていない事業所も少なくありません。見学や体験の際に、就労移行支援への移行率や就職実績、ハローワークと連携して職場体験などを実施しているかなどを詳しく聞いてみましょう。
就労継続支援B型を利用して自分のペースで働こう
就労継続支援B型は、障害や病気により就労が困難な方が、雇用契約を結ばずに訓練を受けられる福祉サービスです。最低賃金が保証されないため受け取れる工賃は少ないものの、体調に合わせて短時間から利用できるのが特徴です。
B型事業所で一定期間経験を積み、就労に耐えうる生活リズムが身についたら、就労移行支援や一般企業への就職(障害者雇用枠を含む)にステップアップする方も多くいます。
「短時間の労働から体を慣れさせたい」「体調に合わせて自分のペースで働きたい」という方は、社会復帰の第一歩としてB型事業所の利用を検討してみてはいかがでしょうか。
関連記事:就労継続支援とは?A型とB型の対象者、仕事内容、給料の違い、選び方のポイントを解説
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