障害者差別解消法とは?
平成25年6月、障害者差別解消法が制定されました。この法律が目指すのは「全ての国民が障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現」であり、そのために「障害を理由とする差別の解消を推進すること」を目的として制定されました。
法律の目的と重要性
障害者差別解消法の主な目的は、障害のある方々に対する差別を撤廃し、平等な機会を提供することです。これによって、障害のある方々が仕事や教育、サービスなどにおいて平等な条件で参加できるようになります。社会全体に及ぶほど重要な法律であり、障害者が社会の一員として活躍できる環境を構築するために不可欠です。
合理的配慮とは?
合理的配慮とは具体的にどういったことなのかを解説していきます。
合理的配慮の意味と背景
合理的配慮とは、障害のある方々の人権が障害のない方々と同じように保障されるとともに、教育や仕事など、その他社会生活において平等に参加ができるよう、それぞれの障害特性に合わせておこなわれる配慮のことです。障害者差別解消法により、この合理的配慮を可能な限り提供することが、企業などの事業者に求められるようになりました。
また、令和3年に障害者差別解消法が改正され、事業者による障害のある方々への合理的配慮の提供が義務化されました。
参考:内閣府|令和6年4月1日から合理的配慮の提供が義務化されます!
障害者に対する合理的配慮の必要性
合理的配慮は、障害のある方々が平等な条件で社会に参加するために不可欠です。障害者が十分な支援を受けられない場合、差別が生まれ、社会的排除が促進されてしまいます。合理的配慮は、障害のある方々それぞれのニーズに対処することで、彼らが能力を発揮し、自己実現を達成することにつながります。
なぜ合理的配慮は義務なのか?
合理的”配慮”という言葉を聞くと、思いやりの行為と思われる方も多くいると思います。
「配慮だから思いやりでやればいいのではないか?なぜわざわざ義務という言葉にするのか?」と感じる方もいるでしょう。
合理的配慮は、社会的な障壁によって生まれた機会の不平等を正すためのものです。
例えば、ある公共のトイレが、車いす利用者が入るのが難しい狭いスペースしかなく、ドアが自動的に開かない場合、これは障壁といえます。この場合、設計を行った事業者がユニバーサルデザインに基づいてトイレを改良することが求められます。障害者自身が自身の障害を克服しようと努力するのではなく、設計者や事業者が障壁を取り除く役割を果たすべきなのです。
障害を作っているのが事業者側であるとすれば、その原因を取り除くのは障害者自身が努力・工夫すべきことでも、事業者が思いやりでやるものでもなく、事業者の義務となります。
合理的配慮の実践例
合理的配慮の実践例をご紹介します。
職場環境における合理的配慮
職場での合理的配慮は、障害のある方々が仕事をしやすくするための具体的な措置を含みます。
以下は内閣府からの職場における合理的配慮提供の例です。
- 業務指示・連絡に際して、筆談やメール等を利用する
- 机の高さを調節すること等作業をやりやすくする工夫を行う
- 感覚過敏を緩和するためのサングラスの着用や耳栓の使用、体温調節しやすい服装の着用を認める等の対応を行う
- 本人の負担の程度に応じ、業務量等を調整する
- 本人のプライバシーに配慮した上で、他の職員に対し、障害の内容や必要な配慮等を説明する
参考:内閣府|合理的配慮等具体例データ集(合理的配慮サーチ)|雇用・就業
JTBデータサービスでは、上記の例を含めた以下の措置を行っております。
- 業務指示・連絡は、筆談やメール等を利用し、手話が使用できる社員は手話を利用してコミュニケーションを行う
- 視覚障害の方がPCを試用した仕事のできる環境を確保するため、必要な器具を用意する
- 本人の負担の程度に応じ、業務量等を調整する
- 本人の出社の負担の程度に応じ、在宅勤務を可能とする
- 精神疾患などの障害に応じたコミュニケーションの配慮を行う
- 身体障害者の方が移動できる十分な通路を確保する
法律遵守と社会的責任
法的要件の遵守
障害者差別解消法において、雇用主やサービスの提供者は法的要件を遵守する責任があります。これには、合理的配慮の提供、差別の禁止、情報提供、アクセス可能性の確保などが含まれます。法的要件の遵守は、障害のある方々に平等な機会を提供するために必要です。
企業と個人の社会的責任
企業や個人には、障害のある方々に対する社会的責任があります。社会的責任を果たすことは、障害者差別解消法の規定を遵守するだけでなく、障害のある方々の権利を尊重し、多様性を受け入れる文化を育むことを意味します。社会的責任を果たすことで、より包括的な社会を築く一助となります。
まとめ
障害者差別解消法と合理的配慮の重要性
障害者差別解消法と合理的配慮は、障害のある方々の権利と平等な機会の確保に向けた重要な規定と手段です。誰もが社会に参画する機会を作り、多様性受容を促進し、障害のある方々にとってより公平な環境を提供するために、法的規定と社会的責任を共に遵守することが求められます。
今後の展望と改善への取り組み
将来、障害のある方々の権利と平等な機会の保障がさらに強化され、合理的配慮がより普及することを期待します。個人と組織が積極的に取り組み、差別のない社会を築くための努力を続けることが、誰もが社会に参画できる未来を築く鍵となります。
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