うつ病の方のなかには「うつ病に向いているのはどんな仕事?」「自分に合った仕事をどう探せばよいのかわからない」とお悩みの方も多いでしょう。
本記事では、うつ病の方に向いている仕事について下記4点を解説しています。
- うつ病の主な症状
- うつ病でもできる仕事はある? 向いている仕事とは
- うつ病の方が仕事探しの際に利用できる支援サービス
- うつ病の方が転職する際の注意点
うつ病の方が長く働ける仕事を見つけるポイントも紹介しているので、現在求職中の方はぜひ参考にしてください。
うつ病の主な症状
うつ病は、気分が激しく落ち込み「何もする気が起こらない」「体がだるい」などの状態が続く気分障害のひとつです。うつ病の主な症状は、以下の通りです。
精神症状 | 気分の落ち込み、不安や焦り、意欲・集中力の低下など |
身体症状 | 睡眠障害、食欲不振(または過食)、頭痛、耳鳴り、動悸など |
上記のような症状が2週間以上続く場合は、うつ病の可能性があります。
うつ病の方が仕事で抱えやすい悩み
うつ病の方が、仕事で抱えやすい悩みには下記のようなものがあります。
- 簡単なミスが増える
- 朝起きられず遅刻してしまう
- 整理整頓ができなくなる
- 体調に波があり欠勤が増える
- 今までの仕事のペースについていけない
- 報告・相談が少なくなる
普段はしないようなミスや欠勤・遅刻の増加などの変化を感じる場合は、医療機関を受診しましょう。
うつ病でもできる仕事はある? 向いている仕事とは
ここでは、うつ病の方に向いている仕事の特徴を4つ紹介します。
- 比較的人との関わりが少ない 仕事
- 在宅でできる仕事
- マニュアルにそって進められる仕事
- 数日~1週間単位でできる短期の仕事
それぞれ具体的な職種とともに確認していきましょう。
比較的人との関わりが少ない仕事
うつ病の方は人間関係にストレスを感じやすい人が多いため、比較的人との関わりが少ない仕事が適しています。具体的な例として、システムエンジニアや清掃員、電気ガスの検針員など、一人で淡々と作業を進められる職種が理想的です。
【人との関わりが少ない仕事の例】
- 清掃員
- 農家
- 電気、ガス検針員
- トラックドライバー
- システムエンジニア
在宅でできる仕事
通勤や人間関係のストレスを受けにくい在宅ワークもうつ病の方に向いています。たとえば、Webデザイナーやシステムエンジニア、プログラマーなどの職種は、在宅勤務が可能なケースが多いです。
在宅勤務を導入している会社も増えているため、自分のスキルや興味を活かして、新たな職種に挑戦するのもよいでしょう。
フリーランスとして活動する場合は、仕事を確保することや収入を安定させることなど留意点もありますので、十分な情報収集と準備が大切です。
【在宅でもできる仕事】
- 翻訳家
- プログラマー
- Webライター
- Webデザイナー
- システムエンジニア
在宅でできる仕事については、下記の記事で詳しく解説しています。気になる方はこちらも参考にしてください。
関連記事:障害者で在宅(テレワーク)での仕事は可能?メリット・デメリットや求人の探し方を解説
マニュアルにそって進められる仕事
一般事務職やコールセンターオペレーターなど、マニュアルが整備されている仕事は、うつ病の方でも取り組みやすいです。
具体的な手順が示されているマニュアル業務は、想定外の状況への対応などの負担が少ないため、安定して作業を進められるでしょう。
【マニュアルにそって進められる仕事の例】
- 配達員
- ルート営業
- 工場のライン作業員
- コールセンターオペレーター
- 事務職(書類作成やデータ入力、電話対応など)
数日~1週間単位でできる短期の仕事
いきなりフルタイムで働くことに不安を感じる方は、数日~1週間単位でできる短期の仕事から始めてみるのも選択肢のひとつです。短期のアルバイトや派遣の仕事は、労働時間や期間を自分で選べるため、体調や気分に合わせて働きやすいメリットがあります。
またさまざまな仕事を経験することで、自分に合う働き方や職種を見つけるヒントにもなるでしょう。
【短期でできる仕事の例】
- 試験監督
- データ入力
- 商品の仕分け
- イベントスタッフ
- 覆面調査・ミステリーショッパー
うつ病の方が仕事探しの際に利用できる支援サービス
ここでは、うつ病の方が仕事探しの際に利用できる支援やサービスを4つ紹介します。
- ハローワーク
- 就労移行支援事業所
- 地域障害者職業センター
- 障害者専門の転職エージェント
自分にとって働きやすい仕事を見つけるためにも、複数利用するとよいでしょう。
ハローワーク
ハローワーク内に設置されている「専門援助部門」では、障害のある方への就労支援を行っています。専門知識をもつ相談員にキャリアの相談ができたり、障害者雇用枠の求人情報の提供を受けられたり、さまざまなサポートが受けられます。
年齢や利用期間に制限はなく、予約をしなくても利用可能です。また、障害者手帳を持っていなくても利用できる場合があるので、最寄りのハローワークに問い合わせてみましょう。
就労移行支援事業所
「今すぐに働くのは難しい…」という方は、就労移行支援事業所の利用を検討してみましょう。就労移行支援とは、就労を目指す障害者の方を対象に、働くために必要なトレーニングを受けられる福祉サービスです。
PCスキルやビジネスマナーなどを学べるほか、特性に合った仕事を見つけるためのアドバイスも受けられます。医師の診断書があれば、障害者手帳を持っていない方も利用可能です。気になる方は、お住まいの地域の障害福祉課に相談してみてください。
地域障害者職業センター
地域障害者職業センターは、職業相談や職業準備支援、復職のためのリワーク支援を行う国の施設です。職業カウンセラーやジョブコーチなど専門的な知識をもつスタッフがいるため、より具体的なアドバイスを受けたい方に向いています。
転職の悩みや職場復帰に支援を必要としている障害者の方であれば、障害者手帳の有無を問わずに利用できます。すべての都道府県に設置されているので、まずはお住まいの地域にあるセンターに問い合わせてみましょう。
障害者専門の転職エージェント
障害者に特化した転職エージェントを活用するのもおすすめです。専門の転職エージェントなら障害者の雇用を前提とした求人が多く集まっているので、仕事や働き方の選択肢をぐっと増やせます。履歴書の添削や面接対策・入社後のフォローまで、求職活動をトータルでサポートしてくれるのも大きな魅力です。
下記の記事では、転職エージェントの選び方を解説しています。こちらも併せて参考にしてください。
関連記事:【障害者雇用】転職エージェントの選び方や活用ポイントを紹介
うつ病の方が転職する際の注意点
うつ病の方が転職する際に、気を付けておきたいことが2つあります。
十分に体調が整ってから活動を始める
症状が重いときは気持ちが不安定になりやすく、冷静な判断が難しいため、まずは体調を整えることを最優先にしてください。無理をして転職活動をすると、病状が悪化してしまうこともあります。
転職活動は、仕事ができる状態まで体調が安定し、主治医の先生の許可をもらってからスタートさせましょう。転職は大きな決断のひとつ。自分のペースを大切にして、焦らず進めることが大切です。
うつ病治療中の場合は事前に伝える
うつ病の再発率は約60%といわれており 、再発する可能性が高い病気として知られています。うつ病治療中の場合は、業務に影響が出る可能性も考慮して、現在の病状や治療状況を転職先の企業に事前に伝えましょう。
病状を伝えることに抵抗がある方もいるかもしれませんが、業務上でのサポートを得るためにも、正直に伝えることをおすすめします。
うつ病の方が長く働ける仕事を見つけるポイント
うつ病の方が、長く働ける仕事を探す際のポイントは以下の3点です。
- 就職・転職活動の期間を長めにみておく
- 勤務時間が固定している仕事を選ぶ
- 障害者雇用枠への応募も選択肢に入れる
それぞれ詳しく説明します。
就職・転職活動の期間を長めにみておく
体調を気遣いながらの就職・転職活動は、普通の方よりも長く時間がかかるかもしれません。そのため、活動期間は長めにみておくことをおすすめします。転職の場合、活動期間の平均は3ヶ月程度とされていますが、その倍の半年ほどを目安にするとよいでしょう。
余裕をもったスケジュールにすることで、不安を軽減させ、長期的によい選択ができるはずです。
勤務時間が固定している仕事を選ぶ
うつ病の悪化や再発を防ぐには、規則正しい生活が欠かせません。生活のリズムが安定していれば、ストレスを感じにくく、体調も安定しやすくなります。そのため、仕事を探す際は勤務時間が固定している仕事を選びましょう。
シフト制や夜勤のある仕事は生活リズムを乱しやすいので、避けた方が無難です。
障害者雇用枠への応募も選択肢に入れる
障害のある方の雇用を前提とした「障害者雇用枠」で働くことも選択肢のひとつです。障害者雇用枠で働くと、勤務日数や業務内容、休暇の取り方など、働くうえでさまざまな配慮を受けやすくなります。
障害者雇用枠に応募するには障害者手帳が必須ですが、安定就労を目指すなら検討してみてはいかがでしょうか。下記の記事では障害者雇用枠での転職のポイントを解説しているので、こちらも併せて参考にしてください。
関連記事:障害者雇用枠での転職を成功させるには?流れやポイント、求人実例を紹介
無理をせずできることから始めよう
うつ病の方に向いている仕事の特徴として「比較的人との関わりが少ない」「在宅でできる」「マニュアルにそって進められる」などがあげられます。ただし、どういった要素がストレスに感じるかは人によって異なるため、自分にとっての働きやすさを重視することが大事です。
転職の際は、ハローワークや就労移行支援など行政の支援だけでなく、障害者専門の転職エージェントも活用してみてください。たくさんの選択肢のなかから、自分に合った仕事を見つけやすくなりますよ。
就職・転職活動は心身共にエネルギーを消耗するものです。体調を整えることを最優先にして、無理をせずできることから進めてくださいね。
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