ADHDを含む発達障害の方でも、条件を満たしていれば障害者手帳の取得は可能です。しかし「どんな条件だと障害者手帳をもらえるの?」「障害者手帳の具体的なメリットは?」と疑問に思う方も多いでしょう。
本記事では、障害者手帳の取得を考えているADHDの方向けに、下記4点を中心に解説しています。
- ADHDでも障害者手帳の取得は可能!
- ADHDで障害者手帳をもらえないケース
- ADHDで障害者手帳を取得するメリット・デメリット
- 障害者手帳の申請方法
最後に障害者手帳に関するよくある質問もまとめているので、ぜひ参考にしてください。
ADHDでも障害者手帳の取得は可能!
障害者手帳は障害の種別に応じて、3種類に分類されます。このうち、ADHDを含む発達障害の方が取得できるのは「精神障害者保健福祉手帳」です。
- 身体障害者手帳
- 精神障害者保健福祉手帳
- 療育手帳
また、同時に知的障害が認められる場合は「精神障害者保健福祉手帳」と「療育手帳」の両方を取得できます。
ADHDで障害者手帳をもらえないケース
障害者手帳(精神障害者保健福祉手帳)を申請するには、いくつかの条件を満たす必要があります。
きちんと交付してもらうためにも、精神障害者保健福祉手帳をもらえないケースをおさえておきましょう。
ADHDの確定診断を受けていない場合
ADHDの確定診断を受けていない場合や、確定診断に至らない「グレーゾーン」の方の場合は交付対象にならないため、精神障害者保健福祉手帳はもらえません。「ADHDの確定診断を受けていること」が交付条件のひとつだからです。
なお18歳以上の大人の場合、ADHDの診断は「精神科」もしくは「心療内科」で受けられます。「どこの病院を受診すればよいかわからない」という方は、お住まいの地域の発達障害者支援センターもしくは精神保健福祉センターに相談してみるとよいでしょう。
初診日から6ヶ月以上経っていない場合
「ADHDの確定診断を受けていること」に加えて「初診から6ヶ月経っていること」も精神障害者保健福祉手帳の交付条件です。
精神障害者保健福祉手帳の対象は「何らかの精神疾患により長期にわたって日常生活や社会生活に制約のある方」です。ADHDの確定診断を受けていても、初診から6ヶ月経っていない場合は、精神障害者保健福祉手帳をもらえないので注意しましょう。申請手続きは、初診から6ヶ月以上経ってから進めてくださいね。
ADHDで障害者手帳を取得するメリット・デメリット
障害者手帳を取得するメリット・デメリットには、どのようなものがあるのでしょうか。それぞれ簡単に紹介します。
メリット
障害者手帳を取得する主なメリットは以下の4つです。
- 医療費補助が受けやすくなる
- 所得税や住民税などの減免が受けられる
- 映画館や博物館などで障害者割引が利用できる
- 就職や転職の際は障害者雇用枠にも応募できる
障害者手帳を取得することで、医療費の補助が受けやすくなるほか、税金の減免や施設利用料の障害者割引など、さまざまな福祉サービスが受けられます。
また、仕事面では「障害者雇用枠」で働けるのも大きなメリットです。障害者雇用枠とは、障害者手帳を持つ方を対象とした専用の雇用枠のこと。障害者を雇用することを前提としているため、周りの理解が得られやすく働きやすい特徴があります。
下記の記事では、障害者手帳のメリットを詳しく紹介しています。詳細を知りたい方はぜひ参考にしてください。
関連記事:障害者手帳を取得するメリットは?デメリットはあるのかも解説
デメリット
障害者手帳を取得するデメリットは、基本的にないといって差し支えありません。
障害者手帳を取得していることを会社や周囲に伝える義務はないため、本人がオープンにしない限り、他人に知られることはありません。取得後に「やっぱり不要だな」と感じれば、いつでも返納が可能です。
障害者手帳は、支援を受けやすくするためのひとつのツールです。障害者手帳を取得しても利用するかは本人の自由なので、支援が必要になったときのために取得しておくのもよいでしょう。
障害者手帳の申請方法
続いては、障害者手帳(精神障害者保健福祉手帳)の申請に必要なものや流れを簡単に紹介します。
申請に必要なもの
- 精神障害者保健福祉手帳申請書
- 診断書(3ヶ月以内に作成されたもの)
- 本人の写真(縦4cm×横3cm、脱帽・上半身、1年以内に撮影したもの)
- 宛名を書いた郵便はがき(交付予定日の通知を希望する方のみ)
- マイナンバーカード(もしくは番号通知カード)
- 本人確認書類(パスポートや免許証など)
申請の流れ
ステップ①障害福祉担当窓口で「交付申請書」をもらい、手続きの説明を受ける
ステップ②指定医のいる病院を受診し、診断書を取得する
ステップ③障害福祉担当窓口に必要書類を提出する
ステップ④審査結果に基づいて、手帳が交付される(1~2ヶ月程度)
精神障害者保健福祉手帳の申請は、お住まいの地域の障害福祉担当窓口で行えます。
なお、申請から交付までには1~2ヶ月ほど時間がかかります。申請してすぐに交付されるわけではないため、精神障害者保健福祉手帳が必要な時期を逆算し、時間に余裕をもって申請しましょう。
詳しい流れや申請方法については、下記の記事で解説しているのでぜひ参考にしてください。
関連記事:障害者手帳の申請方法は?条件・必要なものや費用はかかるのかを解説!
【ADHD】障害者手帳に関するよくある質問
ここでは、ADHDの方が障害者手帳を取得するにあたり、確認しておきたい「よくある質問」をまとめました。
ADHDは障害者手帳の何級になりますか?
等級は診断名によって決まるものではありません。
精神障害者保健福祉手帳の等級は1級から3級まであり、医師の診断書に基づき、障害の程度と日常生活への影響に応じて判定されます。
各等級の定義は下記の通りです。
1級 | 精神障害であって、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの |
2級 | 精神障害であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの |
3級 | 精神障害であって、日常生活若しくは社会生活が制限を受けるか、又は日常生活若しくは社会生活に制限を加えることを必要とする程度のもの |
下記の記事では、精神障害者保健福祉手帳の等級ごとの違いについて詳しく解説しています。「自分の症状は何級ぐらいかな?」と気になる方はぜひ参考にしてください。
関連記事:精神障害者手帳の等級の審査基準は?等級ごとの違いやメリットも解説
ADHDで障害者手帳を取得すると障害年金をもらえますか?
障害者手帳と年金制度はまったく別の制度であるため、障害者手帳を取得すれば障害年金がもらえるわけではありません。
障害年金を受給するためには、障害者手帳とは別に申請手続きが必要です。また、障害者手帳が2級だからといって障害年金も2級になるとは限らないため、その点もおさえておきましょう。
ADHDでも条件を満たせば障害者手帳はもらえる!ぜひ有効活用を
ADHDを含む発達障害者の方は「精神障害者保健福祉手帳」の交付対象となります。ADHDの確定診断を受けていて、かつ初診日から6ヶ月以上経っている場合は、精神障害者保健福祉手帳の申請手続きができるため、お住まいの地域の障害福祉担当窓口で相談してみましょう。
精神障害者保健福祉手帳を取得すると、障害者総合支援法の対象となり、税金の減免や障害者割引など、さまざまな経済的支援が受けられます。仕事面では「障害者雇用枠」での就労も可能です。支援を受けて生活や仕事の幅を広げたいという方は、ぜひ精神障害者保健福祉手帳の取得を検討してみてはいかがでしょうか。
精神障害者保健福祉手帳については、下記にて詳しく解説しているのでこちらも参考にしてください。
関連記事:精神障害者手帳はどんな人がもらえる?取得するメリット・デメリットや等級を解説
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