障害者雇用での転職を考えている方のなかには「一般雇用とは何が違うの?」「具体的に何から始めればよい?」とお悩みの方もいるでしょう。
そこで本記事では、障害者雇用での転職について下記4点を中心に解説しています。
- 障害者雇用と一般雇用との違い
- 障害者雇用枠での転職は難しい?
- 障害者雇用枠での転職するための流れ
- 障害者雇用枠での転職を成功させる5つのポイント
JTBデータサービスで取り扱っている実際の求人実例も紹介しているので、ぜひ参考にしてくださいね。
障害者雇用と一般雇用との違い
「障害者雇用」とは、障害者の方向けの雇用枠のことを指します。企業が提示する条件を満たしていれば誰でも応募できる「一般雇用」とは違い、障害者手帳を持っている人のみが対象となります。
障害者雇用枠は、障害者の雇用を前提としているため、スロープやトイレなど専用設備がある、周りからの理解が得やすいなど、働きやすい環境が整えられているのが特徴です。
障害者雇用と一般雇用の違いについては、下記の記事で詳しく解説しているので、こちらもご覧ください。
関連記事:障害者雇用で正社員は難しい?一般雇用との違いや正社員になる方法も解説
障害者雇用枠での転職は難しい?
転職の難しさは人によって異なるものの、近年では法定雇用率(法律によって義務付けられている障害者雇用率)の引き上げに伴い、障害者の就職件数は増加傾向にあります。
厚生労働省の「令和3年障害者雇用状況の集計結果」によると、民間企業の雇用障害者数・実雇用率は、いずれも過去最高を更新しています。また「令和3年度ハローワークを通じた障害者の職業紹介状況などの取りまとめ」では、障害者の就職件数が2年ぶりに増加していることが明らかになりました。
新型コロナウイルス感染症の影響により一時は低下していた就職件数も、コロナ禍以前の水準に回復しつつあります。
また、法定雇用率は2026年にかけて段階的に引き上げられることが決定しており、障害者の方が活躍できる場は今後も増えていくでしょう。また、これまで努力義務だった「合理的配慮の提供」が2024年4月から事業者も義務化されるなど、障害者が転職しやすい環境への取り組みが進んでいるといえます。
参考:令和3年障害者雇用状況の集計結果、令和3年度ハローワークを通じた障害者の職業紹介状況などの取りまとめ
障害者雇用枠での転職するための流れ
障害者雇用枠で転職するには、具体的に何をすればよいのでしょうか。ここでは、転職する際の流れを解説します。
- 障害者手帳を取得する
- 自己分析をする
- 求人を探す
- 企業研究をする
- 履歴書・職務経歴書を作成する
- 面接を受ける
それぞれ詳しくみていきましょう。
1.障害者手帳を取得する
障害者雇用枠は、障害者手帳(身体障害者手帳・精神障害者保健福祉手帳・療育手帳)を持つ方のための特別な雇用枠です。障害者手帳を持っていないと障害者雇用枠には応募できないため、まずは障害者手帳を申請しましょう。
障害者手帳の申請方法は下記にて解説していますので、参考にしてください。
関連記事:障害者手帳の申請方法は?条件・必要なものや費用はかかるのかを解説!
2.自己分析をする
自分にあった職種や職場を見つけるには自己分析が欠かせません。実際に求人をチェックする前に、以下のポイントをまとめておきましょう。
- 今までにやってきたこと
- 得意なこと、苦手なこと
- これから挑戦してみたいこと
- 就職する企業に求めること
- 障害によってどんな困りごとがあるか
- どんな配慮があれば仕事がしやすいか
自己分析の時点で、障害の特性や必要な配慮などをある程度まとめておくと、応募書類の作成や面接対策に役立ちます。
3.求人を探す
自己分析によって「自分がどんな仕事に就きたいか」「どんな分野で活躍できそうか」がイメージができたら、実際に求人を探してみましょう。
求人情報を探す際は、障害者専門の転職サイトや転職エージェントがおすすめです。障害者に特化している分求人数が多いため、自分に合った求人が見つかりやすくなります。また、ハローワークにも障害者専門の相談窓口があるので、転職サイトや転職エージェントと併用するとよいでしょう。
4.企業研究をする
気になる求人がピックアップできたら、次は企業研究を行いましょう。企業研究は、自分と企業の相性を見極めるためにも重要な作業です。
具体的なポイントは、以下を参考にしてください。
- ホームページやパンフレットで会社概要を確認する
- その企業独自の強みや業界での位置づけを分析する
- 給与や福利厚生など勤務条件を確認する
- 会社説明会やインターンなどで社風を知る
5.履歴書・職務経歴書を作成する
応募したい企業を絞ったら、履歴書と職務経歴書を作成します。履歴書は手書きとPCのどちらで作成しても問題ありませんが、備考欄には障害の特性や必要な配慮などを記載しておきましょう。備考欄のスペースが足りなければ、別紙にまとめて記載してもOKです。
職務経歴書は、企業の視点に立って「どんな人材が求められているのか」を意識しながら作成しましょう。募集職種に合った強みやスキルを選ぶことで選考通過率がぐっと上がります。
6.面接を受ける
書類選考を通過したら、次は面接に進みます。企業によって面接回数は異なりますが、内定までに2回実施される場合が多いです。
面接の際は必ず障害について質問されるので、わかりやすく伝えられるよう事前準備が大切です。お互いのミスマッチを避けるためにも、障害に関する情報は客観的に伝えましょう。
障害者雇用枠での転職を成功させる5つのポイント
ここでは、障害者雇用枠での転職を成功させる5つのポイントを紹介します。
- スケジュールに余裕をもって行動する
- 転職先に求める条件に優先順位をつける
- 面接対策をする
- 障害の特性と必要な配慮について説明できるようにする
- 障害者専門の転職エージェントを活用する
それぞれを詳しくみていきましょう。
1.スケジュールに余裕をもって行動する
障害者雇用枠の求人に応募するには、障害者手帳が必須です。障害者手帳の取得には数ヶ月時間がかかるので、スケジュールに余裕をもって早めに行動しましょう。
余談ですが、障害者手帳を持っていると一般被保険者に比べて雇用保険の受給期間が長くなるメリットがあります。受給申請の際に障害者手帳が必要になるため、退職までに取得しておくことをおすすめします。
2.転職先に求める条件に優先順位をつける
転職を成功させるには、自分にとって働きやすい職場を探すことが大切です。どんな職場が働きやすいかは個々の価値観によって異なるため、転職の軸となる条件を整理しておきましょう。
まずは転職先に求める条件を思いつくだけ書き出し、そのあとで「絶対に譲れない条件」「譲歩できる条件」に分類すると、自分にとっての優先順位がつけやすくなりますよ。
3.面接対策をする
あなたの良いところを企業に最大限アピールするために、面接対策はしっかり行いましょう。
面接における基本の練習方法は、以下の4ステップです。
- 面接でよく聞かれる質問の答えを考える
- 回答を紙に書き出す
- 面接をイメージしながら声に出す
- 人に協力してもらい、受け答えを練習する
とくに大事なのは4です。まずは家族や友人など身近な人に協力してもらい、慣れてきたら転職エージェントなどで模擬面接を受けてみましょう。
転職エージェントでは、担当のキャリアアドバイザーが一緒に戦略を練ってくれるので「受け答えがこれでよいのか不安」という方に向いていますよ。
面接でよく聞かれる質問例や回答例は、下記の記事も参考にしてみてください。
関連記事:障害者雇用の面接でよく聞かれる質問・回答例10選|面接を成功させるコツも紹介
4.障害の特性と必要な配慮について説明できるようにする
障害者雇用では、障害の特性や業務上必要な配慮について必ず聞かれるため、わかりやすく説明できるように準備しておく必要があります。以下のポイントを参考にしてください。
- 障害名と障害が発症した時期、理由
- 障害の特性(障害によってどんな困りごとがあるか)
- 現在飲んでいる薬やその効果、副作用
- 業務上必要な配慮(どんなサポートがあれば働きやすいか)
診断名を伝えればよいというわけでなく、障害によって生まれる困りごとや不便を伝えたうえで、業務上必要な配慮を伝えることが大切です。
障害の種類が同じでも、配慮が必要な項目は人によって異なります。「義足のため、長時間の立ち仕事は難しい」「マルチタスクが苦手なので、指示は明確にひとつずつもらいたい」など具体的な説明を心がけましょう。
5.障害者専門の転職エージェントを活用する
転職活動に集中するために、障害者専門の転職エージェントを活用するのもひとつの手です。転職エージェントを活用すれば、求人紹介から応募書類の作成、面接対策、企業との日程調整・交渉まで一貫してサポートしてもらえます。
障害者に特化している分、障害者雇用枠の求人を多く取り扱っているので、仕事の選択肢が広がるメリットもあります。障害者専門の転職エージェントの選び方については下記の記事で解説しているので、ぜひ参考にしてください。
関連記事:【障害者雇用】転職エージェントの選び方や活用ポイントを紹介
障害者雇用枠の求人実例
障害者雇用枠の求人にはどのような内容があるのでしょうか。ここでは、JTBデータサービスで取り扱っている求人から例を3つ紹介します。
①人気ジュエリーブランドで業務アシスタント
②オンラインショップの受注管理・事務
③IT系企業のインフラエンジニア
気になる求人があれば、ぜひ詳細をチェックしてみてくださいね。
①人気ジュエリーブランドで業務アシスタント
募集職種 | 業務アシスタント(総務課・人事課・経理課) |
仕事内容 | 資料ファイリング、電話対応、郵送物対応データ入力、資料作成、備品発送 |
採用形態 | 契約社員 |
設備状況 | エレベーター【有】建物入口段差【無】障害者用トイレ【無】洋式トイレ【有】階段手すり【有】玄関自動ドア【有】建物内車椅子の移動【不可】マイカー通勤【無】 |
給与(月給) | 200,000円~ |
人気ジュエリーブランド「4℃」の業務アシスタントの求人です。障害の特性や希望に応じて、資料のファイリングやデータ入力、資料作成などの業務に携われます。
②オンラインショップの受注管理・事務
募集職種 | オンラインショップの受注業務及び事務 |
仕事内容 | ホームページ掲載のギフト商品受注窓口業務、受注管理、出荷依頼、自社商品の梱包・発送、事務手続きなど |
採用形態 | 契約社員(正社員登用制度あり) |
設備状況 | エレベーター【有】建物入口段差【無】障害者用トイレ【有】自動ドア【玄関】【オフィス入口】建物内車椅子の移動【可】階段手すり【有】マイカー通勤【要相談】洋式トイレ【有】 |
給与(月給) | 162,810~182,250円 |
フラワーギフトのオンラインショップでの受注管理・事務の求人です。正社員登用制度があるので、正社員を目指したい方にぴったり。正社員登用後は年2回の賞与も適用されます。
③IT系企業のインフラエンジニア
募集職種 | インフラエンジニア |
仕事内容 | システムインフラ基盤に関する設計、構築、運用業務など |
採用形態 | 契約社員(正社員登用制度あり) |
設備状況 | エレベーター【有】建物入口段差【有】障害者用トイレ【有】自動ドア【玄関】建物内車椅子の移動【可】階段手すり【エレベーターの利用のみ】マイカー通勤【不可】洋式トイレ【有】 |
給与(月給) | 180,000円~ |
ITインフラ全般に関わる業務の求人です。エレベーターや障害者用のトイレが完備されているほか、建物内の車椅子での移動も可。ジョブコーチに相談できる環境が整っているのもポイントです。
障害者雇用枠で転職するなら専門エージェントを活用しよう
一般的な転職と障害者雇用枠での転職では、気をつけるべきポイントが異なります。「1人で転職活動するのが不安」という方は、障害者専門の転職エージェントの活用を検討してみてはいかがでしょうか。
障害者に特化した転職エージェントなら、求人紹介から応募書類の添削、面接対策、企業とのスケジュール調整や交渉までしっかりサポートしてくれるので、効率的に転職活動を進められますよ。
1人で悩むよりも専門家に客観的なアドバイスをもらうことで、ぐっと内定に近づきます。転職エージェントをうまく活用して理想の転職を目指してくださいね。
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JTBデータサービスは、障害者専門の転職・就職エージェントです。「健常者も障害者も同じ土俵に立って、お互いへの配慮を前提としながら活躍の場を見つけていくこと」をコンセプトに、東京を中心にサービスを展開しています。
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