「人と接することがとにかく怖い」「プレゼンで極度に緊張してしまう…」。そんな悩みを抱える社会不安障害の方のなかには「私に向いている仕事ってあるの?」と思う方も多いでしょう。
本記事では、社会不安障害の方に向いている仕事について下記3点を解説しています。
- 社会不安障害(SAD)とは
- 社会不安障害の方に向いている・向いていない仕事の特徴
- 社会不安障害の方が仕事探し・転職をする際の3つのポイント
自分に合った仕事を見つけるヒントとして、転職や職探しにお役立てください。
社会不安障害(SAD)とは
社会不安障害(SAD:Social Anxiety Disorder)は、人前に立つことや注目されることに強い恐怖や不安を感じる精神障害のひとつです。
大勢の人の前で緊張するのは自然なことですが、社会不安障害の方は、不安や緊張の気持ちが極度に強く、日常生活や仕事に大きな影響を及ぼします。
「失敗したらどうしよう」「恥をかいたらどうしよう」と人からの評価を過度に気にしてしまうことで、紅潮、発汗、震え、腹痛などの身体的な反応が出ることも。症状が出ることを恐れて、人混みや公共の場所を避けるようになる方も少なくありません。
社会不安障害の方が抱えやすい仕事の悩み
社会不安障害が、ビジネスシーンで抱えやすい悩みには下記のようなものがあります。
- 会議やプレゼンで極度に緊張する
- 人の視線が気になり仕事に集中できない
- 異動や転勤による環境の変化や慣れない人と話すのが怖い
- 緊張のあまり電話対応や窓口応対ができない
- 電車やバスに乗れず、通勤手段が限られる
日常生活や仕事にまで影響が出ている場合は、医療機関への受診を検討しましょう。
社会不安障害の方に向いている仕事の特徴
社会不安障害の方にとって向いている仕事とはどんなものがあるでしょうか。ここでは、
社会不安障害の方に向いている仕事の特徴を3つ紹介します。
- 比較的人と関わる機会の少ない仕事
- ルーティンワークがメインで変化の少ない仕事
- 在宅でもできる仕事
それぞれ具体的な職種とともに確認していきましょう。
比較的人と関わる機会の少ない仕事
社会不安障害の方は、人とのコミュニケーションに不安や緊張を感じやすいため、人との関わりが最小限で済む仕事が向いています。たとえば、清掃員やシステムエンジニア、トラックドライバーなどは、人と接触する機会が少ないので、自分のペースで取り組みやすいです。
会議やプレゼン、職場の人たちとの雑談をストレスに感じる方は、以下のような仕事を検討してみましょう。
【比較的人と関わる機会の少ない仕事の例】
- 清掃員
- システムエンジニア
- トラックドライバー
- 電気、ガス検針員
- 農家
ルーティンワークがメインで変化の少ない仕事
業務中の予期せぬ変更は、社会不安障害の方にとってストレスの要因となりえます。そのため、業務内容が安定していて変化が少ない仕事は、社会不安障害の方に向いています。
たとえば新聞配達やごみ収集作業などは、社会不安障害の方にとって継続して取り組みやすい仕事のひとつです。日常的に同じタスクを繰り返す作業は、慣れてくると安心感を得やすく、働きやすさを実感できるでしょう。
【ルーティンワークがメインで変化の少ない仕事の例】
- 新聞配達員
- ごみ収集作業員
- 倉庫内作業員
- 工場作業員
- 会社の受付、応接係
在宅でもできる仕事
テレワークや在宅ワークが一般的となった現代では、オフィスに通うことなく働ける仕事も増えています。社会不安障害の方は、外に出ることや職場での周りの視線に不安を感じやすいため、在宅での勤務は大きな魅力となります。
たとえば、Webデザインやプログラミング、ライティングなどPCで行える業務は在宅でもできるため、社会不安障害の方におすすめです。
【在宅でもできる仕事の例】
- Webデザイナー
- システムエンジニア
- プログラマー
- Webライター
- 翻訳家
在宅でできる仕事については、下記の記事で詳しく解説しています。「デメリットはないの?」「求人の探し方が気になる」という方はこちらも参考にしてください。
関連記事:障害者で在宅(テレワーク)での仕事は可能?メリット・デメリットや求人の探し方を解説
社会不安障害の方に向かない仕事の特徴
人によって得意なこと・不得意なことは異なるものの、一般的に下記のような仕事は社会不安障害の方に向かないとされています。
- 人と関わる機会が多い仕事
- 臨機応変さが求められる仕事
- 出張や転勤、異動の多い仕事
それぞれ詳しく解説します。
人と関わる機会が多い仕事
社会不安障害の方にとって、人と頻繁にコミュニケーションを取る仕事は適していない可能性が高いです。周囲からの視線や評価への過敏さから、日常的に多くの人と交流することがストレスの原因となりえます。
たとえば、接客業や営業職では、多くの人と日常的にコミュニケーションを取る必要があるため、ストレスを増長するリスクがあります。このような職種を選ぶ際は、自身の症状との相性を慎重に考慮することが大切です。
臨機応変さが求められる仕事
臨機応変な対応が求められる仕事は、社会不安障害の方には向いていない可能性があります。突然の業務変更や、多くのタスクを同時にこなさなければいけない環境では、適応が難しく、症状が出るリスクが高まるためです。
できるだけ変化の少ない業務を選ぶことで、症状をコントロールしやすくなるでしょう。
出張や転勤、異動の多い仕事
環境の変化は不安や緊張の原因となり、社会不安障害の方にとって大きなストレスとなります。そのため、出張や転勤、異動の多い仕事は、社会不安障害の方には不向きな場合が多いです。
症状を安定させるためには、業務内容だけでなく、環境の変化が少ない仕事を選ぶことも大切といえます。
社会不安障害の方が仕事探し・転職をする際の3つのポイント
社会不安障害の方が、仕事を探す際のポイントは以下の3点です。
- 職場環境を重視する
- 障害者雇用枠で働くことも検討する
- 障害者専門の転職エージェントを活用する
それぞれ詳しく説明します。
1.職場環境を重視する
自分に合った職場環境を見つけることは、社会不安障害の方にとって非常に重要です。新しい職場を選ぶ際は、仕事の内容はもちろん、自分にとっての働きやすさを最優先に考えることをおすすめします。
社会不安障害と一口にいっても、得意・不得意は人によって異なります。転職活動をする際は、自分がどんなことにストレスを感じやすいのか、どのような環境だったら働きやすいのか、優先順位をつけて整理することが大切です。自分にとっての働きやすさを重視できれば、長く働き続けられる職場を見つけられるでしょう。
2.障害者雇用枠で働くことも検討する
周囲の理解を得ながらサポートを受けて働きたい方は、障害者雇用枠で働くのもひとつの方法です。障害者雇用枠とは、障害のある方向けの特別な雇用枠のことを指します。障害のある方の雇用を前提としているため、働くうえでの困りごとや不安を周囲に共有しやすく、働きやすい特徴があります。
障害者雇用枠に応募できるのは、障害者手帳を取得している人のみです。社会不安障害は精神障害者保健福祉手帳の対象となるため、働き方の選択肢を増やしたい方はぜひ検討してみましょう。
障害者手帳の申請方法は下記の記事で解説しているので、こちらも参考にしてください。
関連記事:障害者手帳の申請方法は?条件・必要なものや費用はかかるのかを解説!
3.障害者専門の転職エージェントを活用する
転職を考えているけれど、実際どんな仕事や職場が自分に合っているのかわからないという方も多いでしょう。「一人で転職活動するのが不安」という方は、障害者専門の転職エージェントの利用を考えてみてはいかがでしょうか。プロのサポートを受けることで、自分の適性や希望に合った仕事を見つけやすくなります。
面接のアドバイスや履歴書の作成支援など、就職活動の各段階でサポートが受けられるのも大きな魅力です。就職や転職に不安を感じている方も、障害特性を熟知したプロがサポートしてくれるので、安心して挑戦できますよ。
補足:就職が怖いと感じる方は就労移行支援の活用もおすすめ
社会不安障害の方は、新しい職場や人との関わりをイメージするだけで、不安を感じることがあるかもしれません。「就職するのは、まだちょっと怖い…」という方は、就労移行支援の活用も検討してみましょう。
就労移行支援とは、就労を目指す障害者の方を対象とした福祉サービスのひとつです。一般就労に向けて、実際の職場環境に近いなかで、業務の進め方やビジネスマナーなど、働くうえで必要な技術や知識を学べます。 障害者手帳を持っていなくても支援を受けられるので、ぜひ検討してみましょう。
専門エージェントで自分に合った職場を見つけよう
社会不安障害の方は「プレゼンで極度に緊張してしまう」「人とのコミュニケーションが怖い」などの特性をもつ方が多い傾向にあります。そのため、人との関わりが少ない仕事や変化の少ない仕事が適しているでしょう。
とはいえ、どんな仕事や職場環境が自分に合っているのか、自分で判断するのはなかなか難しいものです。そんなときに頼りになるのが、障害者専門の転職エージェントです。障害者専門の転職エージェントは、一人ひとりの障害への理解はもちろん、経験やスキル、希望をもとに、最適な仕事を紹介してくれる専門家です。
転職は、人生の大きな決断のひとつ。だからこそ、プロの手を借りて、自分に合った職場を見つけることが大切です。自分だけの力では気づかない新しい可能性やチャンスに出会えるかもしれません。
下記の記事では、転職エージェントの選び方や活用ポイントを紹介しています。気になる方は、こちらもチェックしてみてくださいね。
関連記事:【障害者雇用】転職エージェントの選び方や活用ポイントを紹介
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